母の日に
母への手紙
母さん、私、とうとうこの年齢になりました
若くして逝ったあなたを、15歳も通り越して
あの人の妻となり、母となり、そのまた子の祖母となり。
母さん、苦しい息の中でも
あなたの笑顔はおだやかでしたね
叱るときさえ、あなたの言葉は静かでした。
母さん、夏の盛りの太陽の下
伸ばした腰を叩いていましたね、拳で
あなたは働いていた、いつも、いつも、いつだって。
母さん、今年はキュウリが豊作で
二人になった我が家では、とても食べきれません
育ったキュウリは、あなたの匂いがします。
どんなときもおとなしやかだった、母さんの心の匂いです
辛いこと、悲しいこと、大変なこと
みんな浄化させてしまう、不思議な心の匂いです。
母さん、もぎたてのキュウリを齧っています
あなたを思ってボリボリ音をたてながら
今日の私は、子供返り。
十のときの甘えん坊。
(2003年夏、ホームページHappy Middle Ageにアップしたイメージポエム)
時はさらに流れ、今、私は母の年齢を35も超えました。
でも母と向き合う時だけは、あと3ヶ月で10歳、4年生に進級してすぐの頃の私に戻ってしまいます。
そしてその日以来、声に出して呼びかけたことのない「母さん」を連発するのです。(2022.5.8 母の日に)