明日は良い日

毎日が日曜日……シンプルに晴耕雨読。

“ニイニイゼミ”の声が聴こえない

この2月、2年ぶりに俳句の会の吟行・句会に参加したが、その後いろいろあって4ヵ月休んでしまい、5か月ぶりに参加した。
場所は市内のいつもの場所にいつもの時間。
今月から新入会者が1名増えて(ちなみに私はスタート時からの会員)総勢12名が参集した。


これだけ長期にわたって休むと、毎月送られてくる句会報には、格段に進歩が明らかな仲間たちの句が並んでいるし、いかに自分を鼓舞しようと気後れしてしまう。
ならば、時間はたっぷりあるのだから句作に励めばいいものを、この私、ダメなんだな。
講師のK先生の後ろをくっついて歩くとき以外は、どうしても俳句モードに慣れないときている。



歩き始めはK先生の「今鳴いているのはニイニイゼミ」との説明から始まった。
「賑やかですね」の言葉に仲間たちは共感し、それぞれに森の雰囲気を味わっている。


えっ、えっ? ちょっと待って、聞こえないんですけど!
私は慌てた。
数種類の鳥の鳴き声、特に成熟した風の鶯の声などは四方八方から耳に入ってくる。
でも記憶のあるニイニイゼミのひっきりなしの声は、全然聞こえない。
思い切って「そんなに鳴いてるんですか? 私にはぜんぜん聞こえないんですけど…」とK先生に告げた。
その後は私の他にも思い当たる人がいるようで、加齢に伴う聞こえにくい周波数の話やら「うちの夫はご飯が炊きあがったピピピって音が聞こえないのよ」などと話題は脱線、「皆には聞こえるのに自分には聞こえない蝉の鳴き声で1句作ってみたら」との先生のアドバイスで、次なる蓮の花咲く池に向かって歩き始めた。


そういえば、10日ほど前に義息子と孫が来た時にも、同じようなことがあった。
「このジーーージーーーって何の音?」と聞かれた時だ。
「え? ジーーージーーーって鳴ってる? 何も聞こえないけど」
「ほらほら、鳴ってるじゃない? ね?」 
と彼が孫に問うと、彼女も「うん、ジーーージーーって鳴ってるよ」と。


そうか、そうだったのか。
また一つ、加齢を認めるしかない事象が始まったのか。機能が一つ劣化しちゃったのか。


帰宅後、ニイニイゼミの鳴き声を確認しようとスマホで検索したら、さらに追い打ちをかけられてしまった。▶マークをクリックしても何も聞こえないのだ。
スマホのボリュームを上げ、耳を近づけたら、ようやく聴こえてきた。幼い頃から聞いてきた懐かしいニイニイゼミの鳴き声が…。

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