夫に病気が見つかって5年ちょっと経つ。
この5月から治療法が変わり、4週間ごとの点滴が始まった。
点滴後2週間は重病人状態で、その後の2週間は病人なりにではあるけれど元気になる。
元来がインドア派で横着者の私は、夫が重病人状態の時期は、付き合うように動かなくなってしまう。
ましてや今の時期、外に出ることもなく日がな本を読んだり、パソコンで遊んだり、録画のテレビドラマを見たり、引き出しの整理をしたり、昼寝をしたり、万歩計をつけていたらおそらく1日に1000歩も動かないかもしれない。

夕方、届け物があって、徒歩で片道20分ほどのボラ仲間宅に向かった。
歩き出してすぐ何だか変な感じがした、上手に歩けないのだ。
膝がフラフラする。
ちょっとの凹みでも足首にガクンとくる。
腰に力が入らない。
脳裏に描く、颯爽と歩く姿には程遠い。

これはマズイ、かなりマズイ、今すぐにでもなんとかしなくちゃ！
気合を入れて猫背を伸ばし、胸を張り、膝もまっすぐにサッ、サッ、サッと歩いてみた。
うんうん、大丈夫、気持ちいいじゃん、周りに誰もいなくてもカッコつけなくちゃ！

も、長くは続かない。
反った腰がすぐに痛くなった。
顎を引き気味して前を見つめる首も痛くなった。
歩くって、けっこう腰や首に負担が来るのよね。
10ｍも歩かないでギブアップ。
気づけば背、腰は前屈みに曲がり、べタンべタンと大地の引力に吸い寄せられるような、重い重い足運びになっていた。

昼の暑さもおさまり、気持ちの良い夕方になって、3ヵ月ぶりに会うボラ仲間のことを思いながらウキウキ気分で家を出たのにこの始末。
惨め。

これでも2000ｍ級、3000ｍ級の山も踏破してきた山女だったのに…。

頑張れ自分、今の惨めな状況を忘れるな、明日から歩け動け、と日記を書いている今は健気だけど、はたして……。